情報技術者試験の勉強をしてくると必ず見る単語の一つがフェールセーフやフェールソフトといったフェール○○といった語群です。これらの単語は似ている上にフォールト○○や、フール○○といった親戚も多く存在する大家族ですのでややこしさは覚える必要のある単語の中では群を抜いてます。
しかしながら、応用情報技術者試験ではこれらの語群に関する問題はほぼ確実に1問は登場しますので、しっかりと回答できるようにしておきたいです。
そこで今回はこれらの問題で間違えてしまわないように、それぞれの単語の違いをしっかりと覚えられるようにわかりやすく解説いたします。
・ユーザーに対して意味を持つ文章はフールプルーフである!
・フェールとフォールトは接尾語で区別する!
・フォールバックはフェールソフトと一緒に覚える!
情報技術者試験で出題される可能性のあるフェール○○一覧
まずは最初に出題される可能性のあるフェール○○についてざっと確認しましょう。
フェール○○系列として出題される単語は以下の9個です。
ややこしやフェール大家族一覧
単語名 | 意味 |
---|---|
フェールセーフ | システムに障害が発生した場合に常に安全を最優先にして制御を行う考え方。 |
フェールソフト | 障害発生時、システムの性能が低下してでも、システムの全体を止めずに運転を継続させる考え方。 |
フェールオーバー | 障害発生時、自動的に予備系のシステムに切替えを行うこと。 |
フェールバック | 障害発生時、フェールオーバ機能などにより主系から待機系に引き継がれた処理を、障害回復後に主系に戻すこと。 |
フォールバック | 障害発生時、システムの性能が低下してでも、システムの全体を止めずに運転を継続させること。 |
フォールトマスキング | 障害発生時、その障害を内部に留め、外部向けの機能やサービスに影響を与えないように制御する考え方。 |
フォールトトレラント(フォールトトレランス) | 障害発生時、システムの性能を下げず、システムの全体を止めずに運転を継続させる考え方。 |
フォールトアボイダンス | システムの品質を高め障害事態を回避する考え方。 |
フールプルーフ | 不特定多数の人が操作するシステムにおいて、人為的ミスによるシステムの誤動作を防ぐように設計する考え方。 |
上記のように種類が多く、それに伴う説明もそれぞれややこしいので、対策をしても何度も間違えるといった事態に陥るのでしっかりと識別できるようにしたいです。
フールとそれ以外の単語の覚え方
まずは全体的にどのような違いから名前が付けられているのかを把握するためそれぞれの接頭辞の意味を簡単に説明します。
【フェール】 :故障
【フール】 :愚か者
【フォール】 :落とす、低下
【フォールト】 ;故障
上記を見ることで、この単語は何を対象としているのかというのが想像できるかと思います。
それをまとめると以下のようになります。
名称 | 対象 |
---|---|
フォールト | 故障 |
フール | ユーザー |
フォール | 故障 |
フェール | 故障 |
とはいっても、異なるのはフールだけであり、フールと冠している単語は「フールプルーフ」だけですので、覚えるのにはそう苦労しないかもしれません。
フールはユーザーを想定して名付けられた単語であり、それ以外は「故障」対してどういうアクションをとるかを想定して設計するという思想の元作られた単語であるということがわかります。
まずはこのように接頭辞に着眼点を置き、フールとそれ以外の単語という棲み分けで単語の全体像を覚えます。
さて、フールはよしとして、それ以外のフェール、フォール、フォールトはどうするのかという話ですが…
これらで識別ことはできないので、あきらめましょう!(おい
冗談はさておき、それぞれの単語にはさらに接尾語があるのでそちらで識別します。
なお、接頭辞はフールとそれ以外と覚えてしまって良いですが、それ以外の中にフェール、フォール、フォールトがあるとだけ覚えておきましょう。
(フェール,フォールト)○○の覚え方、区別の仕方
それでは本題になる、フェール、フォールトを冠する単語の覚え方についてです。(後述しますが、フォールは除きます。)
これらは上記でも述べましたが、接頭辞で区別できるようなものではないので、それらに続く接尾語で覚えてしまおうというお話です。
つまり、最悪フォールトトレラントで覚えるのではなく、トレラントで覚えるという話です。
フォールトトレランスとフェールソフトが混ざってフォールトソフトとフェールトレラントっていう風に覚えても大丈夫です。そんな単語は試験では出てきませんので。
ただ、試験ではという話なので実際に使うようなことがあるのであれば、接頭辞含めしっかりと覚える必要があります。
が、それはその必要性があるときにだけ覚えればいいので、使ってないのにこれらの単語が区別できるようになってる必要があるとは全く思わないので試験を受けるだけのうちは大丈夫です。
そういう概念があることだけ把握しておきましょう。
さて、フール以外の残りの単語を覚えるには接尾語で区別するという話でしたので、接尾語と意味を理解するためにキーとなる単語を紐づけて覚えるようにしましょう。
ただし、この覚え方には一つ欠点があり、「フォールバック」というバグが存在するので、フォールに関しては省いて覚えます。
フェール、フォールトの早見表
名前 | キーになる単語 | 説明 | 対になる単語 |
---|---|---|---|
(フェール)セーフ | 安全 | システムに障害が発生した場合に常に安全を最優先にして制御を行う考え方。 | なし |
(フェール)ソフト | 性能を下げて継続 | 障害発生時、システムの性能が低下してでも、システムの全体を止めずに運転を継続させる考え方。 | フォールトトレラント |
(フェール)オーバー | 切り替え | 障害発生時、自動的に予備系のシステムに切替えを行うこと。 | フェールバック |
(フェール)バック | 戻す | 障害発生時、フェールオーバ機能などにより主系から待機系に引き継がれた処理を、障害回復後に主系に戻すこと。 | フェールオーバー |
(フォールト)トトレラント | 性能を下げず継続 | 障害発生時、システムの性能を下げず、システムの全体を止めずに運転を継続させる考え方。 | フェールソフト |
(フォールト)アボイダンス | 回避する | システムの品質を高め障害自体を回避する考え方。 | なし |
(フォールト)マスキング | 影響を与えない | 障害発生時、その障害を内部に留め、外部向けの機能やサービスに影響を与えないように制御する考え方。 | なし |
上記のように、接尾語に対してキーとなる単語さえ覚えておけば文章全体を読まなくてもある程度こたえられるようになっておりますので、最低でもキーとなる単語だけ覚えておきましょう。
また、「フェールソフトは性能を下げて運転」、「フォールトトレラントは性能を下げずに運転」のように対になっているような単語もありますので、これらと一緒に覚えるとより理解しやすいかなと思います。
フォールバックの覚え方
さて、最後に残ったフォールの唯一神であるフォールバックですが、ご察しの通り、この単語は接尾語だけで覚えると「フェールバック」と競合してしまいます。一文字違いっていうのがものすごい厄介ですね。しかも意味は全く異なるものなので、きっと試験問題を作る人であれば嬉々として出したい問題になるでしょう。まさにふぁっきんですね。
覚え方ですが、本単語はフェールソフトと一緒に覚えます。なぜなら
フェールソフトは「システムの低下をしてでも運転を継続する考え」で
フォールバックは「システムの低下をしてでも運転を継続すること」と
意味がほぼ一緒だからです。
異なるのはフェールソフトは考え方なのに対しフォールバックは実際の行動に値するという点です。
「フェールソフトの考え方に基づいてフォールバックする」といったりもするそうです。
なのでフェールソフトと一緒に覚え、ソフトは考え、フォールは実際の行動であると覚えましょう。
フェール〇〇に係る単語群の覚え方については以上です。
応用情報は過去問の形だけ覚えれば答えられるものもいくつかありますが、これに関してはそう甘くないので、この記事によって皆様がこの問題で一問落としてしまわないように対策できたなら幸いです。
今回はここまでです。
お疲れさまでした。
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